HHD’s blog

線路のある風景

Nobody Is Right

 施設透析には色々な患者がいる。透析時間中ほとんど寝て過ごす人。テレビを見て過ごす人。人それぞれだけれどもみんな大人しく4~6時間と言った長くて苦痛な透析時間をそれぞれのやり方で過ごしている。私もスマホでユーチューブの動画をみたり、中島みゆきの曲を聴いたり、疲れたら眠るようにしている。しかしほんの一握りなのだが、周りの人たちへの配慮もなく携帯電話で長時間の通話をしている男がいる。仕事の電話のようだが、あまりの節度の無さにあきれてしまう。確かに携帯での通話は禁止ではないが、急用の時に手短に通話するのがマナーではないかと思う。透析施設は自分のオフィスではなく電車やバスと同じ公共のスペースである。私はこのようなマナーや節度を守れない人をみるとイラついてくる。どうしても許せないのである。スマホのイヤホンのボリュームを上げてこの不快な雑音を遮断することにしている。ちょうどボリュームを上げた時だった。中島みゆきの「Nobody Is Right」が流れてきた。


もしも私が全て正しくて とても正しくて周りを見れば
世にある限り全てのものは 私以外は間違いばかり
もしもあなたが全て正しくて とても正しくて周りを見れば
世にある限り全てのものは あなた以外は間違いばかり
つらいだろうね その一日は
嫌いな人しか 出会えない
寒いだろうね その一生は
軽蔑だけしか いだけない
正さと正しさが 相容れないのはいったい何故なんだ

 この曲を聴き終えた私は少し複雑な心境になった。確かに携帯の長電話の男は公共のマナーと言った観点からはNGの行動であると思う。けれどもこの男の行動を不快に感じているのは私だけではないとは思うが、その場に居るすべての人が不快に思っているのかどうかはわからない。特に気にも留めていない人もいるかもしれない。私の考えが全て正しいわけではないのである。そんなことに気づかせてくれたのがこの曲だった。中島みゆきの曲は奥が深い。中島みゆきファン初心者の私にはまだまだ新しい発見がありそうだ。