羽前小松駅
大阪は9月の中旬になっても残暑が続いていた。どこか涼しいところに行こうと考え、東北に向かった。米坂線の羽前小松駅を目指してとなりの犬川駅から歩き出した頃になると、夕暮れが迫っており気温が急速に下がってきた。半袖の軽装で出かけた私は震え始めた。実った稲穂が秋風に揺れていた。大阪とは違う秋本番の風景が広がっていた。とにかく寒かったので私は歩くスピードを上げた。
羽前小松駅に着くとあたりはすでに薄暗くなり始めていた。私はこの駅から急行「べにばな」に乗って新潟に向かった。初めて乗る米坂線であったが、車窓は暗い闇の連続で、今度は昼間に乗りたいと思った記憶がある。新潟駅も寒かったので、駅の立ち食いそばであたたまり、その夜は駅前のビジネスホテルに泊まった。
(夕闇せまる羽前小松駅前)
(犬川駅を出る列車) (1985年9月15日撮影)