HHD’s blog

線路のある風景

青春18きっぷ(夏)

・はじめての一人旅を、人は一生、忘れない。

 
 青春18きっぷの広告のキャッチコピーである。そしてこのキャッチコピーの旅が私にはある。就職活動を直前に控えた大学4年生の夏休みの旅である。

 1980年8月、大阪駅から富山行の夜行急行「立山」に乗った。夏休み真っ最中ということもあり、車内は混んでいた。沖縄の大学のワンダーフォーゲル部に所属する学生と同じボックス席に座った。感じの良い学生で少し世間話をした記憶がある。彼がこれからどの山に登るのか聞いたような気がするのだが忘れてしまった。逆に彼から私の行き先を聞かれたのであるが、説明しても多分わかってもらえないと考えた私はただ一言「福井まで」と答えた。私の旅の行程は福井から越美北線の列車で終点の九頭竜湖駅まで行き、そこから県境を越えて岐阜県の越美南線の終着駅である北濃駅まで歩くというものであった。

 この旅の計画を立てた当初は九頭竜湖駅北濃駅を1日で歩き通す予定であったが、30㎞は少し長い距離であったので途中にある石徹白の民宿で一泊した。目的地の北濃駅にはお昼の12時前に着いた。次の列車までかなり時間があったので、近くの長滝白山神社に立ち寄った。人の気配がまったくない境内では蝉しぐれの音だけが鳴り響いていた。


・夏休みは、寝坊が一番もったいない。
・あの頃の青を探して。
・初めてに、年齢制限はありません。
・何歳になっても、いい夏休みを。
・「ゆっくり行きましょう」と列車に言われた夏でした。

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